「本当に大きくなるの?」
出産して母子同室になる前、助産師さんに聞かれた。
「母乳だけで育てたい?それともミルクも飲ませる?」
私は特に母乳だけで育てることにこだわりはなかった。
母乳はいつでも飲ませられるし安上がりだしよくわからないけど栄養あるみたいだし、
ミルクは夜中授乳するときにザッと作ってゴクゴク飲んでくれて助かるかな、
そんな印象だった。
なので「大きくなってくれるなら、なんでもいいです」と答えた。
むすこ(赤ちゃん呼びやめよう)は生まれた時は2600グラムだったけど3日後には2400グラム台になっていた。
出生時の体重から10%以上痩せてしまうと母乳を吸う力がなくなってしまったり無気力になってしまったり、「生きる力」がなくなってしまうそう。
むすこはギリギリの−9.4%。母乳が出る前にしんでしまいそうだ。
だから「大きくなってくれるなら」と、まずはミルクを飲んでもらった。
その後の授乳も3時間ごとにミルクを足した。
入院中は順調だった。うまく体重も増えて先生にも太鼓判を押してもらった。
家に帰ってからも入院中と同じようにミルクを足した。ゴクゴク飲んでくれた。大きくなってると思った。
家の体重計で体重を測った。(100グラム単位だけど)
【むすこを抱いて測った体重】−【自分の体重】−【むすこの服の重さ】で測った。
日にちが経ってるのにあまり増えてない。
母子手帳に書いてある成長の目安のグラフを見ても体重はやっぱり軽かった。
最近、変だった。ゴクゴク飲んでくれたミルクを飲まなくなったし溢乳も多かった。お腹も張って苦しそう。母乳も飲めているかわからない。
病院に電話で相談した。
心配はないと思うけど一度病院に来て、とのことだった。
翌朝、機嫌の悪いむすこを抱いて病院へ。
この時期の小児科は春休みの子どもが予防接種のためにたくさん来ていた。
生後2週間ほどのむすこは浮いていた。
「見せて見せて」と幼稚園生ぐらいの子たちが群がった。
辛い。
そうこうしてるうちに診察室に呼ばれた。
真っ先にむすこは裸にされて体重を測られた。
2700グラム台だった。
お腹の張りは空気が入ってしまってるだけなのでゲップをさせてオナラが出ていたら大丈夫、手も足も首も力があるし心配ないとのことだった。
でも体重はギリギリなので来週また来て、と。
正直毎週体重どころか毎日ちゃんと体重測りたいぐらいです。
母乳もたくさん出てると言われたけれど心配だよ。
水道みたいにおっぱいにメーターがついてるわけでもないし。
本当に大きくなってくれるのかな
心配
帝王切開で産んだこと
記憶が新鮮なうちに書いておこう。
※すごく長いです。
38週目、逆子が治らなくて予定帝王切開をした。
生まれた子は2600g台。その直前の検診でも予想は2600g台だった。
第一子、男の子。
入院期間は8日。
初産普通分娩の人より2日長い。
手術前日。
入院用にまとめた荷物を持って病院へ。
午前中に38週目の診察をし、再度逆子かどうか確認。逆子のままだったのでそのまま入院受付をして病室に通される。
このとき逆子が治っていたら入院せずに帰してもらえる。
採血され、お昼ご飯から病院食。
麻酔科の先生が麻酔についての説明に来る。後遺症とかの話、怖い。
出産前最後のシャワーを浴びて晩ご飯。その後、熱・血圧を測って消灯、就寝。
夜9時以降は絶食。お水、お茶はOKだった。
初日はひとりきり。
手術当日。
12時からの手術。朝9時まではお水・お茶がOKなのでがぶ飲みする。
早朝にNSTの検査と熱・血圧、逆子かどうか再度チェック。
異常なしだったので自分の個室から手術室隣の部屋に移動し待機。夫と一緒。「お腹すいた」ばっかり言ってた気がする。
手術開始の時間、手術着?を着た看護師さんが呼びに来る。隣の手術室へ移動。テレビで見たような手術室でテンションが上がる。思わず「テレビで見たことある!」と看護師さんに言って苦笑いされる。
手術台に寝かされ、また血圧を測る。胎児の心音も確認。
麻酔を腰に打たれる。ぽわっと足の方が温かく感じて感覚が鈍くなっていく。
心電図とか血液中の酸素濃度調べるやつとか足に血栓防止のポンプを付けられ尿管を入れられる。
この時、全裸で大の字。「あー恥ずかしいな」とちょっとだけ思う。
いろんな準備が整って先生が来て手術がスタート。
意識はあるけどお腹でなにをされているかわからない。
メガネも外され視界はぼんやり。
右腕に付けられた血圧計が定期的にしめつけてきて痛いことの方が気になる。
突然の吐き気。たぶん胎児を押し出すためにお腹を圧迫されたから。
「うぇっ気持ち悪い…」って声は誰にも届かず…。
どのぐらい時間がたったかわからないけど、先生が「おめでとう、がんばったね」と言ってきた。
でも赤ちゃんの声はしない。シュコーと掃除機みたいな音がしてそれから産声が聞こえた。
「この部屋に赤ちゃんがいる!」と思った。と同時にまた吐き気が襲ってきた。今度は吐き気に気づいてもらえ、容器を口元に持ってこられる。
メガネをかけさせてもらえたが傾いてちゃんと見えない。
自分の左側の台に泣いて暴れる赤ちゃんが来る。血とか拭かれて聴診器を何度も胸に当てられていた。
赤ちゃんに対しての処置が完了して私の顔の横に連れてこられる。
「わ、わぁっ」「赤ちゃんだー」とか他人ごとのような反応しか出来なかった。多分緊張してたんだと思う。
「触ってみてもいいんだよ」と言われたけれどタオルの上からそっと頭を撫でることしか出来なかった。本当は頬とか手とか触りたかった。でも怖かった。
そうこうしてるうちに赤ちゃんは保育器に入れられて手術室を出た。
帝王切開ってすぐには赤ちゃんを抱けないんだな…。当たり前か。
お腹を縫い終わり「ご苦労様、がんばったね」の声で手術は終わった。メガネを外されているので先生の顔がぼんやりとしか見えない。
すごい感極まった訳ではないけれど涙がぽろぽろ出た。あと吐き気がMAXになりゲロも出た。
下半身に麻酔がかかっているため、服を着せてもらったりベッドに移動したりすべてされるがままになる。デブでごめんと思う。
経過観察用の部屋にベッドごと移動させられる。夫がすぐにきた。
保育器に入った赤ちゃんを見てきたこと、先生から手術が母子ともに健康な状態で終われたこと、赤ちゃんの首にへその緒が1回巻き付いていたことを説明された。
下半身の感覚はかなり時間がたたないと戻らないと言われたので、夫と手術中のことを話したり夫が撮った赤ちゃんの写真をみたりした。
お腹がすいたけれど許可が出るまでは水だけだった。麻酔で腸の動きが鈍くなってるからだそう。
晩御飯を過ぎた頃にバナナとゼリーが出されて食べた。でも、思ったより食べることが出来なかった。
夜、落ち着いた頃に助産師さんが赤ちゃんを連れてきてくれた。
下半身に力が入らないのでベッドのリクライニングを立てて起き上がる。
助産師さんに赤ちゃんの抱き方を教えてもらう。
手術中に抱くことが出来なかった子を初めて抱いた。
思ったより軽くて、手が小さくて、顔は私にそっくりで、足は夫にそっくりだった。
面会時間の終わりが近づいて赤ちゃんは新生児室に夫は家に帰った。
消灯時間になっていろいろこみ上げてくるものがあって泣いた。
時々痛み止めが切れて泣いた。
痛み止めは背中にチューブをさしていて痛くなり始めたら自分で痛み止めを流し込むようになっていた。それでも痛かったら座薬を入れてもらう。朝までに座薬は1回入れてもらった。
痛いながらもトータル7時間ぐらいは寝た。
朝ごはんの時間になってベッドのリクライニングを立てた時、肩や胸や背中が急に痛んだ。息も荒くなってナースコールを押した。
先生と看護師さんが来て症状から考えられることは手術中に体に入った空気の居所が悪くて痛んでいる、との事だった。
正直、このまま死ぬのでは?と思ったので「そのうち治る」なんて言われて拍子抜けした。
炎症反応が強いということだったので抗生剤を追加されて退院間近まで点滴を打ち続けた。
入院中は点滴を打ち続けたことと他の人より採血が多かった以外は特にトラブルもなく普通に過ごした。
母子同室もしたし、初めての夜泣きでこっちが泣きそうにもなったりもした。
傷の治りや子宮の戻りも良い方らしく、退院から1週間ちょっとズキズキするけど普通の生活をしている。
帝王切開で産んだけど、普通に産むより大変かどうかなんて両方経験した人にしかわからなくって、でも怖いなって辛いだろうなって思ってたほどじゃなかったかな。
今は赤ちゃんが元気に大きくなってくれればそれでいいと思う。
こんなに小さな手
産まれました。
検診の予想どおり2600グラム台。
男の子。
体内の羊水を出す処置をしてもらってから大きな産声をきかせてくれました。
帝王切開で開いたお腹を閉じている隣で赤ちゃんがいろんな処置を受けていた。
一緒に頑張ってる子が愛おしくて、まだ抱いてもないのに母性が爆発。
処置が終わって助産師さんが顔の横まで赤ちゃんを連れてきてくれた。
緊張して「わ、わぁっ」としか反応出来ず…。
「触ってみてもいいんだよ」と言われたけれど、包まれたタオルの上から頭をそっと撫でることしかできなかった。
「もっと見ていたい」と思っているとあっという間に保育器に入れられてさよなら。
「ああぁ…」次いつ会えるんだろう…。
泣いていたら猛烈な吐き気。横になったままげろげろげろ。
自分の処置も終わって経過観察用の部屋へ。
夫は今回の手術について先生から説明を受けた。
まず、出血が少なく母子共に健康な状態で手術が終われたこと。
そして赤ちゃんの首にへその緒が1回巻き付いた状態であったこと。
手術受けた本人は全然そんな実感なかったよ…。
帝王切開の手術のことはまた今度、ゆっくり書こう。
でも、本当に無事に産まれてきてくれてよかった。
私を母にしてくれてありがとう。
こんな小さな手をしてるくせに母のハート鷲掴みだね。